リフォームをしたときの所得税減税制度は、大きく分けて2つ。1つは、住宅の購入にも利用できる「住宅ローン減税」。そしてもう1つは「リフォーム減税」です。この2つの減税制度は、耐震リフォーム以外、併用不可です。
どちらの減税制度が適しているかは、ローン借り入れの状況や工事内容によって異なります。いずれの減税制度も2022年度税制改正で大幅に内容が変わっていますので、整理していきましょう!
住宅ローン減税
住宅ローン減税を「住宅を購入したときだけの制度」だと思っている方も多いのではないでしょうか?しかし適用要件を満たしていれば、リフォームでも住宅ローン減税が適用となります。
控除額は、限度額を上限に年末の住宅ローン残高の0.7%。所得税から控除しきれない場合は一部、住民税から控除されます。
対象となるリフォーム工事
- 建築基準法に規定する大規模な修繕または模様替え・改修・増築
- マンションなど区分所有部分の床・階段・壁の過半について行う修繕または模様替え
- 居室・調理室・浴室・便所・洗面所・納戸・玄関・廊下の一室の床または壁全部について行う修繕または模様替え
- 現行の耐震基準に適合させるための耐震改修工事
- 一定のバリアフリー改修工事
- 一定の省エネ改修工事
上記いずれかに該当する工事で、リフォーム費用から補助金などを引いた金額が100万円を超える場合、住宅ローン減税が適用されます。
その他の主な適用要件
- リフォーム工事完了から6ヶ月以内に自らが入居すること
- 住宅ローンまたはリフォームローンの返済期間が10年以上
- 合計所得金額が2,000万円以上
いくら控除される?
リフォームの場合、住宅ローン減税の控除期間は「10年」、控除率は「0.7%」。1年の最大控除額は、以下の通りです。
リフォーム減税
リフォーム減税とは、ローンの有無に関わらず、一定のリフォームを行った場合に所得税が控除される制度です。
住宅ローン減税のように10年間にわたって所得税が控除されるのではなく、リフォーム工事後に住み始めた日に属する年の所得税から控除されます。
対象となるリフォーム工事
耐震リフォーム
旧耐震基準から現行の耐震基準に改修するリフォーム
バリアフリー化
下記のような、高齢者等が自立した日常生活を営むための改修
- 通路または出入口の拡幅
- 階段の勾配の緩和
- 浴室・便所・出入戸の改良
- 手摺の取り付け
- 床の段差の解消
- 床材の取り換え
省エネリフォーム
省エネ基準に新たに適合させるためのリフォーム工事
三世代同居リフォーム
同居対応型住宅にするためのキッチン・浴室・便所・玄関のうち2箇所以上の増設
長期優良住宅化
長期優良住宅にするための改修工事
いくら控除される?
※カッコ内の金額は太陽光発電を設置する場合リフォーム減税で控除されるのは、基本的には限度額を上限にリフォーム費用の10%です。ただし、控除しきれなかった超過分および同時におこなったリフォーム工事も、総額1,000万円を限度に5%控除となります。
固定資産税も減額
耐震・バリアフリー・省エネ・長期優良住宅化リフォームを行った場合、1年間、当該家屋に係る固定資産税の減額措置を受けられます。
固定資産税の減額は、住宅ローン減税およびリフォーム減税と併用可能です。
「住宅ローン減税」と「リフォーム減税」どちらを選ぶべき?
2つのリフォーム減税制度のうちどちらを選択すべきかということですが、基本的に、優先すべきは総控除額が大きいリフォーム減税です。しかし、ローンを組まずにリフォームした場合やローンの期間が短い場合は適用になりませんので、そのときはリフォーム減税を選択されると良いでしょう。
一方で、リフォーム減税は対象となるリフォーム工事が限定的。住宅ローンを組まないリフォームが、すべて対象になるわけではありません。
耐震改修では、住宅ローン減税とリフォーム減税が併用できます。ただし、住宅ローン減税の適用は10年以上のローンを組んでリフォームした場合に限られますのでご注意ください。
各制度の併用可否は、次の表を参考にしてください。
(出典:一般社団法人住宅リフォーム推進協議会)
まとめ
リフォームの減税制度は充実しているものの、複数の制度があり、対象工事も異なるため選択に悩んでしまうものです。減税制度を賢く使うことで、予算的に叶わなかったリフォームができることも。リフォームの減税制度に限ったことではありません。不動産に伴う税制は「知らなきゃ損」なことがたくさんあります。
リフォームを検討されている方は、弊社までどうぞお気軽にご相談ください。減税制度のことも、わかりやすくお伝えさせていただきます!